髪長ギター男と彼女 written by ジェラシー機長 

おんがくしつ
03 /27 2017
彼女は私の古い知り合いである。
彼女には「髪の長い、ギターを弾く男」を偏愛するという性癖がある。それは私が彼女を知ってから今なお全く変わらない。そして恐らくこれからも。

まず、初めて彼女に出会った時、既に彼女は髪の長いギターを弾く男を連れていた。正確にいうと、私のバンドのメンバー募集に応えて来てくれたギタリストが、彼女を連れていた。彼女は当然のように、我々とスタジオに入り、髪の長いギターを弾く男(以下、髪長ギター男)の弾くソロに心酔するかの様に目を閉じて首を振っていた。彼女は髪長ギター男同様に長い髪をしていた。茹で始めて2分ぐらいのサッポロ一番の様なパーマがかかっていた。私は気持ち悪い女だな、と思った。

次に彼女を見かけたのは駅前の楽器店だった。以前とは別の髪長ギター男と壁に陳列されているギターを眺めて笑っていた。
一般的な視点から見て、髪長ギター男というのは目立つし、それなりに個性を持っているように見える。ああ、音楽に情熱を傾けている人なんだな、ちょっと世間とは相容れない部分があってそこを大事にしている人なんだろうなと思う。

しかし、彼女はいつも連れている髪長ギター男を上回っていた。彼女の何が男を上回っているかと訊かれてもハッキリ言えないのだが、確実に上回っている。まるでジョンレノンにくっついているオノヨーコみたいに。私が小学生の頃にジョンレノンは死んでしまったので、彼の偉大さを実感としてはよく知らない。そのせいもあるかもしれないが、雑誌などでジョンとヨーコの2ショットの写真を見るたびに、何か事情があって地球に降り立った黒く大きな瞳を持った遠い星の宇宙人が、自分の星の家畜を(羊的な)連れている様に見える。

3度目に彼女に出会ったのは、駅前のロータリーだった。
彼女はニューエイジ系議員の応援団としてシュプレヒコールを上げていた。
体のどこから出ているのか、今まで聴いたことのない周波数分布を持った金切り声で。

そしてやはりその傍らには髪長ギター男がいた。

三人目の髪長ギター男。

遠い星から連れてこられた憐れな羊。
私は、危険を感じながらも彼女への興味を抑えられなくなっていたため、演説が終わるのを待って彼女に声を掛けた。
彼女は私を覚えていた。

久しぶりね、と話してみると意外に普通に応えてくれた。私がひとまずホッとした直後に「戦争の無い世界にしなくちゃね。あなたもそう思うでしょう」と彼女は言った。私は、なんとなく身の危険を感じて、そうだね、と曖昧に応えた。彼女は私の曖昧さは全く気にならないらしく、深く頷いていた。その間、髪長ギター男は黙って横に立っていた。

4度目に彼女に会ったのは、雨の夜だった。

会社帰りに駅前の小さな飲み屋が並ぶ通りを家へ向けて歩いていた時、前方から傘もささずに、髪を振り乱して女が駆けてきた。女は私には目もくれずに怒った顔で通り過ぎて行った。おや、もしや今の女は?と思いつつ10メートルほど歩くと、傘を持って、ギターケースを背負った男が呆然と立ち尽くしていた。私にとって4人目の髪長ギター男だ。そこでさっきの女が彼女である事を確信した。羊がいて羊飼いが定義される。

私はここへきてわからなくなっていた。もしかして私が想像しているパワーバランスは全く逆で、髪長ギター男の属性として彼女がいるのでは無いか?と。いや、そんなはずはない。世間とのズレを音楽に託している髪長ギター男は世界中にたくさんいる。それでは彼女が何人いても足りないじゃないか。

やはり、彼女もしくは彼女の星から来た宇宙人は、世間とのズレをギターにぶつける地球の男の発する匂いかエネルギーか何かが、この地球で生きていくための養分として絶対的に必要なのだ。いま彼女のそばにいるのは何人目の髪長ギター男だろう?私はそんな彼女を可哀想に思った。

やはり、人間は生まれた星を出るべきではないのだ。


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